きみさえいれば Shining days!

ニュアンス:微妙な意味合い

舞台 コインロッカー・ベイビーズ

 

「舞台 コインロッカー・ベイビーズ」再演おめでとうございます!!!

 

なんやかんやで、コインロッカー・ベイビーズの東京楽が終わってしまいました。終わってかなり経ってしまいました。コインロッカーについて思うことはたくさんあったから、ブログを書くか書かまいか、ひとりラブレター状態*1だったのですが、もうどうにもこうにも残さないと未来の私が、今の私にブチ切れ散らかしそうなので、鉛のように重い腰を上げてます。

 

コインロッカーは初演も観に行ったのですが、そのときの自分が何を思ってたのか、

 

全然覚えていない!!!!(断言)

 

 

当時のツイログ開いてみても、

 

だいたいずっこんな感じなので、我ながらしょうもなさに辟易としてる……しかも今年はベッドの上にポップコーンもガリバーもいないので、参考にならないという……(笑)

 

歌も結構覚えてたので、視覚的、聴覚的な情報は残ってたんだけど、気持ちの記録は皆無!同じ過ちを繰り返さぬために、思ったことをただただ残します!あと、優劣とか好みとか一切無視して、2人がそれぞれをどうアプローチしてたかの比較をひたすらやる!

 

 

以下の文は全部、原作を2年前に1回読んだきりの、コインロッカー・ベイビーズ初心者の、「舞台 コインロッカー・ベイビーズ」の個人的見解、解釈、感想ですのであしからず。

 

 

 

前半戦:7/11(水)~7/20(金)

 

橋本良亮:キク    (はしキク)*2

河合郁人:ハシ    (ハシきゅん)

 

 

コインロッカー・ベイビーズ

それはそれはど緊張の中はじまりまして(笑)OPなどは初演と同じだったので、コインロッカー・ベイビーズに、「うぉーーー!これだーーー!この曲だーーーー!」ってテンション上がったんだけど、ステージの奥からせりあがってきた2人が全くちがってどきどきした……まず見た目から。ハシきゅんの髪型が、前髪ありで全体的に重めでパーマのかわいい仕上がり。パンフレットなどはだいたいハシきゅん…!

顔つきも、ハシきゅんは眉間にしわが寄ったりしてなくて、とても無垢で生まれたまんまの男の子。はしキクはさらっとしてた(伝われ)

 

「♪音が遠ざかる~」って顔の横で両手の指を動かす振りがあって、河合くんの動かし方がすごくすきだったんだけど、踊り方はハシだろうとキクだろうと、変わらず高速でもにゃもにゃしててうれしかった(笑)

 

ただ、調が変わって背中合わせで座るところの表情は別もの。全てを奪った神様に対する気持ちが全然ちがう。ハシきゅんは「神様のせい」って教えこまれたかのようで、キクきゅんは「神様のせい」って憎んでるかのような。*3

 

そして立ち位置も歌のパート割もちがって、ハシがだいたい上の主旋律、キクがだいたい下でハモり、なので前半戦の歌割りはとても新鮮だった。A.B.C-Zじゃあまりないやつ!

1回目の心拍「♪うみーーうみーーうぅーーーみぃーーーーー」のハシきゅんのロングトーンがひっくりかえっちゃうことが多くて、勝手に緊張してた(笑)ラストの日は1発目もきれいにでてたのがすごくうれしかった。

というのがざっと冒頭の印象です…

 

 

公演が始まるまでは、入れ替わるってどうなるのかなあ、そのまんま替わるのかなって軽く捉えてたんだけど、そんな気持ちは失礼なほどに、2人はキクでハシでした。

初演のハシキクとはまったく別なんだけど、別だからって話が変わっちゃうんじゃなくて、あくまで「橋本良亮」「河合郁人」の上にハシとキクがそれぞれ乗っかっている。そもそもの土壌が違うから、同じ種を撒いてもまったく違う育ち方をする花、ってイメージを持ちました。

 

 

【キク(橋本良亮)】

はしキクは、きっとこんなキクを演じたかったんだなっていう、はしちゃんにとっても、客席にとっても、理想のかっこいい男の子なヒーロー像を見せてくれた。人当たりがよくてだれにでもやさしくて、でもハシにだけは特別な感情を持ってる。だからおかしくなるハシを止められないことに絶望もするけど、最終的にはアネモネの夢もろとも、ずーっと小さい頃から抱いてた夢を叶える力を持ったヒーローが、はしキク。

 

【ハシ(河合郁人)】

ハシきゅんは、真っ白な東京の中でも、希望を見つけて前を向く姿を見せてくれた。何回苦しんでも、絶対に目的地にたどり着こうとする、だからハシはとても幸せなんじゃないかって錯覚した。でも(私は実生活的ハッピーエンド厨なので)あんな風に、焼き尽くされてずぶずぶに沈んだ東京で、ただ1人で前を向いているハシはどうなってしまうのか、逆に絶望的な世界も見えた。滅亡した東京でこそ希望を見つけてしまった、そこがハシきゅんの狂気なのかな。

 

 

はしキク:やさしい、笑顔、強さ、甘さ、クール、モテる、絶望、人あたりのよさ

ハシきゅん:無邪気、無垢、幼い、鈍感、孤独、独りよがり、執念、狂気

 

 

 

後半戦:7/21(土)~7/29(日)

 

橋本良亮:ハシ(ハシちゃん)

河合郁人:キク(キクきゅん)

 

 

初演のキャスティングですね、なのでどうにも帰ってきた感としっくり感が強かったのは完全にこちらです……(笑)好みの話はしない!って言ってるんだけどね…(笑)っていうか、はしキクもハシきゅんもすきなの!!!

橋本くんのハシ、河合くんのハシ、河合くんのキク、橋本くんのキク、双方のハシとキクと、全部まるごと愛せるほどに、抜かりなく見せてくれた2人の演技力には脱帽です、執念のWキャスト。

 

河合くんもはしちゃんもとりわけ負けず嫌いだと思うので、そのパワーがいかんなく発揮されてたのがこの後半戦だったのかなーとおもう。初演の自分、初演の自分の役をいまさっきまでやってた相手、どっちに対しても真摯に向き合って戦って、その結果の後半戦なので、やっぱりわたしはこの配役に軍配をあげてしまいます。(好みの話しないって言ったのにな………)

 

キクきゅんの髪型は今年もおでこを出して、前髪を分けて、男性的だった。かっこよかった、眉間にしわは寄ってた、あんなに変われるのかってくらいハシきゅんとは違う顔をしてた。でも初演よりはずいぶんやわらかかった気がする。

橋本くんはビジュアルで変化をもたらさないタイプだね。登場シーンの見た目に大きなちがいはないようだった。お芝居中のお顔の作り方はハシとキクでまっっっったくちがうけども。そのお顔的には、キクの方がノーマルの橋本くんに近いのかな、あと22日の公演で、ポップスター(済)の髪型が前髪分けで、スターオーラがびんびんしてた!

 

ハシとキクの関係性が色濃く見えるのが、個人的にはこっちの配役だった。見せ方のちがいもあるけどたぶん、ハシのすべてを、キクがその熱さでどうにかなんとかしてくれるんじゃないかって勝手に期待しちゃってたからかもしれない。

 

【ハシ(橋本良亮)】

ハシちゃんは、大前提として人がすきなんだとおもった。Dのことが、ニヴァのことが、お母さんのことが、キクのことが、だいすき。Dに自分を見出してもらって歌手になれたけど、ポップスターとして歩いていくなかでの苦悩がひしひしと伝わってきた。Dや世間の望むように自分をつくらなければならない気持ちと、自分が表現したい自分、その葛藤の中でおかしくなっちゃったのかな。

ただ、自分が人を求めるように、誰かに自分を求めてもらいたかっただけなのにね。「ねえD、ぼくは誰かの役に立つ?」ってあんなに切なく噛み締める表情で訴えかけるハシに対して、周りはなにをするべきだったんだろう、なにをしてあげたらよかったんだろう。だれも正解を与えてあげることもできず、ひたすら孤独の中で苦しんでたんだとおもう。焼き尽くされた東京で、「正真正銘の孤独」になって、「自由」を手に入れたハシが、少しでも幸せを感じてくれてたらうれしいな。(いやーーーーーでもあの最後まで狂ってた目と表情に、私は幸せを見つけられなかった…)

 

【キク(河合郁人)】

キクきゅんは、強い信念を持ったひたすらまっすぐで不器用な男の子だった。その信念が垣間見えるキクの表情たちは、もう抜群に綺麗で強くてかっこよかった。自分を捨てた、ハシを狂わせた、「東京」という地を爆撃することに執着したひとりの男の、強さや寂しさやとまどいや覚悟や絶望。いろんな気持ちを抱いて投げ捨てながら「東京を真っ白にする」という夢を叶える。東京の爆撃の目的には、そこで生きているハシのためもあったんじゃないかな。キクきゅんは、ハシに対して「兄」という自覚を強く持ってたように思えた*4。兄として、弟を助けてやれなかった絶望、檻の中でなにもできなかった絶望、そしてハシの存在を含め全部を粉々にすることで、キク自身は本当の自由を手に入れられたんだとおもう。だからキクは幸せになれたとおもう、アネモネも一緒だもん。

 

ハシちゃん:かわいい、人が好き、儚さ、愛されてる、孤独、鋭さ、狂気

キクきゅん:男らしさ、強さ、やさしさ、若さ、まっすぐ、自信、寂しさ、執着

 

それぞれの4つの人格に対して、こんな印象を抱きました、あーもうここまでの感想でかなり満足してしまってる………けどね、もう少し深堀して残さないと未来の自分がキレるので………ゆっくり進める…………

 

 

 

【血濡れの運転手】

はしキクは、キクきゅん比でとっつきやすい雰囲気を醸してて、「俺キク、あんたは?」*5などのひとことひとことが軽め。背が大きくてスタイルがいいので、ひたすらかっこいい……鉄パイプでいきなり人殴ってもなんか許せる(?)

 

キクきゅんは、眉間にしわ寄せてるんですけど、初演よりは社会性を感じた*6。あとね、「よぉ」とか、ひとことひとことに音圧があって声が大きくなってて、河合くん自身の自信を感じた………そして今回も背がでかかったです、キクきゅんだと背も身体の厚みもあるように見えるのはなんなんだろうね、雰囲気なのかな〜〜すごいな〜〜〜(小並感)

 

【心拍(カナエ)】

コーヒーカップに乗るはしキクは楽しそう!キクだけど無表情じゃない!かわいい!

お母さんに「オムライス美味しかったわねえ、外で食べるとまた違うものねえ」って頭を撫でられるハシきゅんがもう〜〜たまらなかったです。

 

「あっ!梨本カナエだ!」の言い回しもちがって、ハシきゅんは、うれしい!見つけちゃった!ラッキー!って明るめの声色、ハシちゃんは、あれ?なにしてんだろう…?って感じでちょっとクールな声色、まあでもどのシーンにおいても、ハシちゃんは毎公演で違うので、その日の気分次第感ある(笑)

 

催眠術のかけられ方もちがう。

ハシきゅんは顔の前にかざされる手のひらに合わせて、目玉をぐるぐる動かして目が少し開いてるような、目の前が催眠術の世界になってしまったイメージ。「ハシと魚釣り……兄弟…本当は友達」の言い方も「本当は友達」で声色が変わるのがすごく意味深。*7

ハシちゃんは目をつぶってるので、催眠術の世界に入り込むイメージ。暑くてどうしようもなくなって、顔を手で覆いながら脱走する。

 

そんで暗転すると、下手に突然のガゼルの登場、とてもびっくりした………………なんなんだあいつは(笑)

「船乗りだ」って紹介されてんのにバイクに乗ってるし……原作のビジュアルイメージあんなんだっけ、初日はとても心がザワザワしたよもう(笑)

余談がすぎるけど、「ガゼルが教えてくれた、まじないだ」のキクきゅんの言い方がなんか、強ばってる?イキってる?感じで、ほほえましい(笑)

 

【ホワイト・ノイズ】

「喋ったり歩いたりしてるところを、気付かれないようにそっと見たいんだ」の言い回しに対して、

ハシきゅんは台詞のあとに「!!!!!」って感嘆符がたくさんついてて、この台詞に重心がある、その後の行動に対して、勢いが満ちてるイメージ。

ハシちゃんは「撒かれていた花びら、あれブーゲンビリアだったんだよ!!」に重心があった。「そっと見たいんだ………」は少し間があって、自分の行動に理由付けをして諭すような感じがした。

 

【キクとアネモネ

はしキクは怒涛のマジレスターンでも、(「写真撮っていい?」に対する「なんで?(笑)」とか)語尾がすごくナチュラルで、ああモテるなあ…とおもいました。アネモネの守り方も、言葉をかけたあとに肩をぽんぽんってする手もやさしい。

キクきゅんは、「なぜ?」とか「どこへ?」とかめんどくさそうに返してたけど、ちゃんとひとつひとつにアネモネの目を見て答えてて、やさしかった。基本的に初演よりマイルド、すき。

 

【薬島】

前半戦ver.

地震で怖い思いでもしたんだろうな」の言い回しがとってもやさしい。よくわかんない頭イッちゃってるやつにもやさしいはしキク………あと好きだったのが骨の置き方、やさしくテーブルに置いて、ハシの前にすっと重たく大切そうに突き出すの。でも激情型なので、すぐ怒りのスイッチ入っちゃう、突き飛ばす回数も多いし、どんどん早口になるし、声も大きく高くなってくから、「僕の都合も考えてよ」ってハシの声は届いてない。でも「歌手になりたかったんだ」に対しては、「歌手だと?」って言いつつも、そうなのか……って理解してあげたい感じがした。極めつけは「お前、騒がしいところに住んでんな」ってふっとわらって、やさしくハシの肩に手を回して、そのまま一緒に立ち上がって(暗転の中)捌けるところ。

 

ハシきゅんはお化粧が似合う、「ねえ、ミルクは元気?」って島のことを、急に思い出したように言うところがキクの気に障っちゃったんだろうな。ズボンの太もものところを両手でつまんで、俯いてずっとぶるぶる小刻みに震えるところは、本当に小さくて、突き飛ばされるともっと小さくなって、思わず消えちゃうんじゃないかって。でも「歌手になりたかったんだ」って気持ちはとっても強かった。

 

後半戦ver.

キクきゅんは、たのしそうにお化粧してるハシちゃんの横でずっとイライラしてる。「口紅塗らないと働けないのか?」って眉間にしわを寄せて、貧乏ゆすりしてるような、ずっとそわそわして、ハシの行動が気に障るみたい、だからか骨の置き方も少しぶっきらぼうだった。けど「歌手になりたかったんだ」に対しては「歌手だと?」って怒り口調でありながら、どこか悲しい目でハシのことを見てる。「お前、騒がしいところに住んでんだな」って強い目で言ったあと、暗転の中それぞれ捌けていく。

ハシちゃんは、たのしそうにお化粧する。パフ使って、ブラシ使って、またパフを使って、塗りました感満載の口紅、覚えたてのお化粧に一生懸命。「急に来るんだもん、明日にしよう、明日いろいろ話そう」ぜひそうしてあげてほしいっておもってしまうほど、目の前のことしか見えてないハシ。「歌手になりたい」って本当はまだ言うつもりなくて、もう少し自信がついてからキクに伝えたかったのかなとおもった。

 

【青い舌】

変な話、わたしは何かしらのパフォーマンスを見て、自分の身体が反応することに興奮を覚えるので(文面だけ見るとめっちゃやばいヤツ)*8、橋本ver.しかり、河合ver.しかり、毎回涙と鼻水でびーしょびーしょでした。楽曲自体が本当に名曲ですし、それをさらに引き出す名パフォーマンスでした、それぞれ踊り方やアプローチが違うところも含めておみごと。

 

前半戦ver.

そもそも「ぼくはホモなんだ、ひどいだろ」というハシのカミングアウトに露骨な嫌悪感を出してないのが、はしキクの大きなポイントだったとおもう、それよりもハシについて知らなかったことに対するとまどいを強く抱いてそう。

ハシきゅんは音楽が始まった瞬間に、何かが憑依したかのように、一瞬にして伏し目がちになるの、「ぼくを見て、ねえ、ほらきれいでしょ?ねえ、ぼくと遊んでよ?」って言わんばかりのパフォーマンスなんだけど、これがもうほんとにどエロくてたまらなかった。完全に自分の世界に入り込んでて、商品として提供してるの、好きで淫売してる人の魅せ方。ぐいんぐいん腰をまわしたり、自分の太ももあたりに指を這わせたり、口紅がきれいでとっても似合ってる。身体のパーツが小ぶりだし、表情も艶めかしくで女性的ではあるんだけど、あくまで男の子、なのですごく中性的で魅力的だった。

彼は「淫売してたらDに出会った」かのよう。ハシきゅんはパフォーマンスに重きを置いてる気がした。

曲が終わるとDに乳首をぱんっってされたりしてたので、相当かわいがられてるやつだね(ハシきゅんはリトルきゅんさんが露骨だった気がした、小声だよ)

 

Dに歯向かうキクに対して、ハシきゅんは本当に邪魔そうな雰囲気を醸すんだよね、ぼくの世界はぼくの世界だから、キクは無理してこっちに来ないでよってことなのかな、身内だからの恥ずかしさと、キクに対する劣等感の恥ずかしさかな、その距離感に逆に兄弟っぽさを感じた

 

 後半戦ver.

「ぼくはホモなんだ、ひどいだろ」に対して顔をゆがめるキクきゅん、ハシちゃんが踊ってる間も不機嫌そうな、イライラした表情で、付近を落ち着きなく動いてる感じ、思いがけない事態にじっとしてられない。

ハシちゃんは、Dのことがだいすきで、憧れの男性なんだなーっていうのを踊りながら伝えてくれる。時折Dに目配せしては嬉しそうにするし、「♪僕が誘うよ~」って指で物理的に誘っちゃうあたりところなんて、うぶでかわいい。「♪青い舌で舐めたい~」で指をくるくるさせるのは2人とも共通の振り、回数を重ねるごとに色っぽく、艶っぽくなっていってた。口紅はまだ塗り方も雑で、似合ってるとは言い切れなくて、でもDのために一生懸命パフォーマンスするの、絶対すきで淫売などしていない(笑)脱いだ後も一目散に駆けてくし、Dにアソコを触られる時も、自分の手を上から重ねて抑えつけるし、ほんとにすきでしょうがないことが伝わる。

彼は「Dに出会って淫売を始めた」かのよう。ハシちゃんは激しく腰を動かしたりせずに、歌声に重きを置いてたとおもう。

 

キクきゅんが威張って歯向かってやられるときも、ハシちゃんはDの主導権を握っている感があるので、けっこうぐいぐい「ねえD!もうやめて!」って言えるの。にしてもよく威張るキクだこと。

そんでラストの公演ですごく好きだったのが、キクが「ダチュラ……」って絞り出したのに対して、ハシちゃんがキクの身体にお顔を埋めたところですね、あれでハシとキクの関係性がよりわかりやすくなったとおもう。おもわず泣いてしまった。

 

【東京は沈むんだから】

アネモネの話!昆ちゃんのアネモネもリオちゃんのアネモネもどちらも好きなのでただの比較です。

昆ちゃんのアネモネは、歌の力強さ、パワーから、「あたしが東京を沈めるの!この手で絶対に沈める!!!!!」って世界に誓ってる雰囲気で、

リオちゃんのアネモネは、東京に向かって念じるというか、諭すというか、「東京よ沈め!!あたしが言うんだから東京は沈むのよ」って世界に訴え掛けてる雰囲気だったな

 

【オシャレせなあかん】

Dに連れられて現れたハシ。ハシきゅんはとまどい圧倒されてるように、ハシちゃんはうれしそうにワクワクしてるように見えた。

 

はしキクは、アネモネに対してとってもとっても積極的!(笑)「ミルクそっち行っちゃだめだ!」のあと、ベッドでもぞもぞするアネモネに悪さしようとするけど、んんーーっていやがれられてる、不憫かわいい。「キク、キスしてよ」からはもう本当にフルスロットルなんですが、1回1回が長めですし、アネモネの首筋?うなじ?付近にお顔寄せるし、おでこすりすり、鼻すりすり、とにかく百戦錬磨感がすごい…………ラストの日の暗転前の「ワンモアキッス」の破壊力よ………あの積極性とか、かわいい感じが少年性なのかなーと、もはやアネモネがお姉さん風吹かせてる。

 

あとね、これはキクではなくはしちゃんの話なんだけど、アネモネを美しく見せるのがすごく上手!抱き寄せ方も、お洋服の脱がせ方も、パフォーマンス性があって美しい!体型の問題もあるのかもしれないけど、これは橋本くんの才能だとおもった!!!

 

キクきゅんは、最初はゆっくり丁寧にキスする*9。けどアネモネが、引き寄せられるために手を差し出したりして、徐々にスイッチが入っていくキク*10。最後は、アネモネの頭をやさしく支えつつも、左手を床に突き立ててゆっくり押し倒すので、包容力が見えた。

 

ハシきゅんは、緊張した感じで二ヴァにご挨拶、着替え終わると両手広げて見せてくれる。初めてのお酒をおそるおそる飲んでみると、とあるアクシデントとあいまって、反応してしまう。「たっちゃった!」って驚いた言い回しがかわいくて……そしてベッドにてニヴァにおっぱい触らせてもらうときの上目遣いが本当にとろとろで、すべてを委ねたお顔をしていた。そしてゆっくり押し倒される。

 

ハシちゃんは、たのしそうにお着替えするし、着替え終わったらまずDに見せるの。Dもうれしそうでよかったね。お酒飲むとふわふわしてて、Dに向けてんーーーって唇を突き出してちゅーしてもらうの待ってた、してくれた、よかった。間違えてニヴァのおっぱい触ったときも、たっちゃったときもわりとケロッとしてたのに、ベッドに座ると人格が変わったように、頭をニヴァに委ねて何回もゆっくりキスしてた。静止されて押し倒されてた。

 

【ワニの国】 

はしキクの態度はわりと日替わりだったかな…(笑)かわいいなーってアネモネを見てる日もあれば、髪の毛かきあげてぼさぼさになる日もあったり、クールな日もあったりで、「ワニの国の神様」にもマジレスしない。ただ「♪太ってないし〜」で隣にくっつくアネモネに、ちゅーしようとしては手の甲でぷいって押しのけられるし、むりやりほっぺをぎゅっと抑えて顔しぼりしても振り払われるし、とってもかわいかった。

Dから電話かかってきたところの「エラいべっぴんさんと住んどるのやなぁ」に対する「切るぞー」のいちいち相手にしないさらっと感にやられた

 

キクきゅんは、終始アネモネに対して「んだよもうー」って呆れた顔しながらわらう年上っぽみがよかった*11。「♪太ってないし〜」は、アネモネが首を傾けて構ってほしそうにするんだけど、キクがつれない。でもずっと目で追ってて、アネモネのことすきなんだなってのが伝わる、そして「ワニの国の神様」はちゃんと両手で舌を掴んで探します、さすがマジレス芸人。あとキクきゅんの、「♪ある男を〜あなたを〜」って見つめられたときに、すごくうれしそうにするところがすき。アネモネも「♪あなたを〜ふふっ(笑)」って思わずわらっちゃうところが、キクきゅんに対する好きが溢れててすき。

 

【拳銃はどこだ】

前半戦ver.

ハシきゅんの「会えないよぉ……」やら「きらわれる!ぼくはぜったいきらわれる!」の幼児性が本当にすごい…………「キク!こっち来て!」「この人、キクのおかあさんだよ!!!」って、あまりにも無邪気にうれしそうに言うもんだから、この子は人の気持ちに鈍感でかわいそうなんだなとおもった。キクが撃ったあと、やっと事の大きさに気がついてあわあわする姿には、苛立ちをおもってしまったよ。

 

はしキクが拳銃をもってハシの前に現れたとき、最悪の事態を想定してたハシが元気で現れたことに対して、キクは「こっちにおいで、一緒に帰ろう」ってだれに向けるよりもやさしくあたたかい笑顔を向けるんだけど、全然その気持ちがハシには伝わらなくて、やるせなくてとても切なかった。突然母親を認識させられたキクは、だんだん顔や首を赤くして、涙を目にいっぱい溜めてた。

 

後半戦ver.

ハシちゃんも、「キクのおかあさんだよ!」って紹介するけど、狂気じみた笑顔とかじゃない。そしてキクが撃った瞬間に「うっ」っと苦しそうに顔を歪めて、その場から目を背けてた。目の前のことしか見られないから、キクがこうなることは予想できなかったんだね。

 

キクきゅんはたぶん相当なプレッシャーを抱えてて、拳銃はどこだと同じくらいの剣幕でハシを連れて帰ろうとする。この場を自分がなんとかしないとって思うんだけど、ハシに流されちゃうんだよね、ハシがふつうに話しかけてくるし、無事なことに気が抜けちゃったのか、理屈じゃなくて本能で動いた結果の悲劇。顔を首から真っ赤にして、受け入れたくない、こんなことをしたかったわけじゃないって頭を伏せながら叫ぶ。

 

【ニヴァ】

「ニヴァ、みんなを送ってって」の言い回しは、ハシきゅんは幼いトーンで、ハシちゃんはすでにゾーンに入ってる様子。

目いっぱい舌を出して、苦い顔をしながら舌を噛み切るハシきゅん。

舌を出したり引っ込めたり、苦しく泣きそうになりながら、自分の頭の中で蠅が闘ってるハシちゃん。

自分のイメージするものをうまく表現できない苦痛を知らないので、想像を絶するつらさなんだろうなといつもおもってた。

 

【面会:アネモネ

面会に来たアネモネに対するアプローチも2人ともちがう、アネモネの話を全然聞いてない点に関しては一緒だったけど。

はしキクは、ずっと椅子から立って外の看守の様子をそわそわうかがって、「今だ!」と思ったときに、勢いよくアネモネに雑誌記事を読ませる。あとから高さの微調整するところに、勢い先行だったことがうかがえた*12。「ダチュラを忘れてなかったのね」って言われて、んーーーって伸びしたあとに前を向いた清々しく凛々しい顔が最高でした。

 

キクきゅんは椅子に座りながら険しい顔でそわそわしてて、看守の気配を感じなくなったタイミングで記事を読ませていた*13*14ダチュラのことを忘れてないキクの目は本当に鋭くて、この人なら夢を果たせそうだと思った

 

【ホワイト・ノイズ】

ハシきゅんは、静かに苛立って狂っていく様子。身体が勝手に動いちゃうよりも、頭がいろんな風にたくさんたくさん考えて、侵されてパンクしてしまった雰囲気

ハシちゃんは、苛立ちを全身で表現してる様子。怒鳴るし、地団駄も踏むし、目の前の女に当たるし、目も虚ろになるし、襲いかかってくる蝿と、全身で闘ってたのかもしれない

 

【面会:ハシとキク】

ここがいちばん書きたかったとこここのためにほかの場所もおまけ的に比較したの、おまけの文量ではなくなっちゃったけど

 

ハシきゅんは、はしキクに対して「嫉妬」とか「優越感」を見せてた。「ぼくは島の誇りなんだって、キクは…島の恥なんだって(笑)」ってあまりにもうれしそうに言うから、檻に閉じ込められてるキクに対する優越感がとても大きいのかなって。むかしからずっと綺麗で強くて、運動で全国大会にも出場して、憧れでありつつ、キクへの劣等感がずっとあったけど、そんな存在がいま、犯罪者として牢屋の中にいる。地元では「恥」とまで言われてるのに対して、自分は歌手として「スター」になった。「島の誇りだ」って讃えられたのに、自由になれたはずなのに、いちばん欲しかった「音」をキクは手に入れてたことを知るハシの絶望だよね…………ハシきゅんは「音」に執着してるからさ……

「もっと参っちゃってるかとおもったよ」って、なんだキク意外と大丈夫じゃん、つまんないなぁ〜くらいにおもってたのかな。ハシきゅんって、自分の気持ちとか、相手の気持ちにすごく「鈍感」なイメージを持った。いい言い方をすると「素直」。犯罪者としてのキクに対する蔑むような目とか、嫉妬におそわれて自分を取り戻せなくなる目を目の当たりにしたキクは、ちゃんとまっすぐハシのことを見つめてた。はしキクは、いつのどんなハシのこともまっすぐに見つめてるね

 

ハシちゃんは、面会の席に着いたときからすでにイッちゃってたので、キクきゅんに対する嫉妬とか優越感とかそういう次元で生きていない…(笑)島の誇り、島の恥って話も、ただ地元で聞いたからキクにも教えてあげよう!って話してるのかなって………「参っちゃってるかとおもったよ」も、なんだ、案外ケロッとしてるじゃん!くらいにおもってたのかな。

音が聞こえたってキクに言われても、「いまは聞こえない」から興味なさそうにするんだよね、すぐ蝿食べちゃった話をはじめる。最近であろうと、今現在「音」が聞こえないキクよりも、一瞬、あのとき「音」が聞こえた自分に執着してる気がした。キクきゅんは、壊れてるハシを目の当たりにして顔を歪めて、ときどきかなしい顔をしていた。

 

【隠された壁】

この曲は「怒り」と「絶望」を表す曲だとおもってて、中でも自分の中のイメージは、はしキクは「絶望」、キクきゅんは「怒り」が強く表れている印象だった。はしキクは、ハシきゅんが今度こそどうにかなってしまうんじゃないか、この手を離したら2度と会えなくなるんじゃないか、と絶望してるようにおもった。キクきゅんは、ハシちゃんをどうにか取り戻したいのに、それができない自分への怒りと、ハシをおかしくした世界への怒りに満ちてるようにおもえた。

どちらのキクにせよ、変わってしまったハシの姿を目の前にしたら、こうなってしまった原因に対して怒りをぶつけたくなるし、こんな世界に対して絶望せざるをえないとおもう。この世界だって、全方位が見えていない壁で覆われていて、まるでコインロッカーと一緒なんだろうな。

 

【水滴】

救助船のシーンのはしキクが本当にだいすき!パンフレットでも加藤貴彦さんが「良亮のキクが上から見ている時、彼の心の柔らかい部分が見えていいなあと思いました」って言ってらしたんだけど、

はしキクは心から「こいつ生きてるぞ!」っておもってて、相手の目をうれしそうにのぞき込んで腕を引き上げるの。これが彼(はしちゃん、はしキク)の本当のやさしさなんだろうなーって思うたびに泣いてた(笑)

 

インタビューで山根が反乱を起こすところのキクきゅんは、やっとチャンスがめぐってきたと心底うれしそうで、こっちまでうれしくなる。監視が厳しくなったときの悔しさが大きかっただけに、その分走り出す瞬間も軽やかで晴れやかだった。

 

【この子は生きのこる】

「音」を見つけたハシきゅんは、本当にきれいな顔をしていた。ずっと探し求めていたものが永遠になるかもしれない、そう思って大切なニヴァに手をかけてしまったのかな。「ニヴァ愛してるよ」って言いながら「音」を永遠にするため、愛する人に手をかけた。

最後の最後まで「音」に執着して、「音はどこ?」「音がない!音は!」って叫びながら、這いつくばってまで探そうとする執念。気がついたときにはニヴァはもう瀕死で、なのにやさしく寄り添ってもらって、あなたはひとりじゃないのよ、強く生きなさいってニヴァに言われてるように見えた

 

ハシちゃんは、「人の役に立つこと」を心から望んでいた。だからこそ、自分に向けられた好意や関心が一切なくなった世界で、生きていくことを望んだんだと思う。自分を大切に思ってくれているニヴァを殺して、完全にひとりきりになることで、強さと自由を感じようとしたような。一切の迷いがなく、勢いに任せ、目の前のことだけに執着した結果、やってしまったことに気が付いたときにはもうすべてが遅くて。「音」も消えて叫んでわめいて立ち尽くす中、ずっと見守ってくれたニヴァの腕の中でぼろぼろに泣いて、ハシは焼き切れた。

 

【風】

ハシきゅんは、沈んだ東京の中で前を向いて、きれいな顔でわらってた。河合くん自身が「残酷なハッピーエンド」*15って表していたからハシも、死体の海の中でも笑顔な解釈なんだと思う。周りがどうであろうと関係なくて、何にも縛られず、本当の自由を手に入れられたことがハシにとってのしあわせ。もう1度産声という歌を歌って、生きることに希望をもって、新たにハシの人生が始まるんだろうなとおもえた。

 

反対にハシちゃんは、沈んだ東京の中で希望を見つけてはいないと思う。誰もいなくなった絶望と苦しみ、悲しみを共存させながら、叫びを歌いつづけるのかなとおもった。でもハシちゃんは、そんな孤独な環境でこそ強く叫んで、自分のパワーをエネルギーとして生きていくのかもしれない。「聞こえるかい?僕の新しい歌だ」ってあまりに大きくはっきり言う姿は、ハシが自分自身に言い聞かせてるように見えた。

 

 

 

 

という、15000字のポエミーな感想でした………何回も読み直しながら眠くなってしまって全然進められなくてついに8月になり…(笑)考察とかほんとに苦手だからやりたくなくて……でもやらない選択肢がなかったから………難しいところなどけっこう端折ってしまったけど、未来の自分のためにはなったかな…(笑)

 

以下雑感です。

いまさらだけど、再演を見られるってありがたい。進化や変化が露骨に見えるから。人間性的な変化とか、いくら役者といえど役に反映されるとおもうの、その人の考え方とかの部分って。だからそれが見えたことがすごいよかったなって!それぞれの役がより魅力的になってたから!!しかも河合くんとはしちゃんの心の中には、ハシとキク、2人ともいるから、それが少なからず「キク」「ハシ」をやるにあたってのいい影響になってのかなと思いました!

「Wキャスト」をごく当たり前に受け入れてしまったけど、そのレベルの高さに、超人さに、ふつうに驚いた。改めてすごい人たちなんだなと。ひいき目なのかもしれないけど、役者としてもっと評価されてもいいとおもう。やっぱりもっと多くの人に、こんなエンターテイナーがいるよ、こんな演技をするんだよってことを知ってもらいたい、そんな「Wキャスト」でした。作品や俳優さんにたくさん感情を揺さぶられて、同じ役なのにまったくちがって、比較なんかしたくなっちゃうような「Wキャスト」に感動した、濃い2週間ちょっとでした。この短期間で、まったく正反対の2役を演じる河合くんとはしちゃんを見られたことを、しあわせにおもいます。東京公演本当にお疲れさまでした!!!

ずっとずっと、もっともっと、河合くんのことが、はしちゃんのことがすきでよかったなーって思ってる。誇らしいです、ありがとう。

 

8月公演も怪我なく突っ走れますように!「舞台 コインロッカー・ベイビーズ」を応援してます。

 

 

*1:「♪(書き)出そうかな やっぱやめようかな 迷い続けてた〜」って最近よく脳内が占拠されてて……「ラブレター」最近歌ってないよね、というか「罠」とか「瞳をとじて」とか、往年のジュニア曲の類を最近聞いてない…

*2:()内は個人の呼称なのであしからず

*3:河合担なので河合担目線で話が進むよ!

*4:ハシきゅんのときに「兄弟……本当は友達」で暗いトーンに声色が変わるのは、河合くん自身がハシとキクは友達なんじゃなくて、本物の兄弟なんだって思いたかったのかなっていまおもった

*5:A.B.C-Zの一人称の「俺」って、5人ともどうにも「おれ」で、ひらがなのイメージなんだけど、キクは「俺」だったな

*6:鉄パイプを持ち出すあたりで社会性とは

*7:注釈のイメージかなとおもってる

*8:例えば、歌声に涙したり、勝手に鳥肌が立ったり、そういうことです、今回は子宮が唸るって感じでしたけども

*9:原作ではキクはアネモネで卒業するので、その設定に忠実なのかなとおもった

*10:いまおもうとアネモネなりのエスコートだったのかなって

*11:原作はアネモネのが年上だよね、おそらく

*12:「舌だせ(しーた だーせ)」甘すぎる問題についてはあえて触れない(笑)

*13:「しーたーだーせー」はまっすぐ客席を向いて言うので、どきっとしちゃう、いろんな意味で(笑)

*14:「寄港地」が「飛行地」に聞こえるの初演からの課題だとずっとおもってたんだけど、24日以降の公演はちゃんと「寄港地」って聞こえた(笑)

*15:パンフレットの、ハシ、キク、アネモネ座談会にて